ASTD Tech Knowledge 2012 全体概要
主催者挨拶


Jane McGonigalはTED.com(米国で講演会を実施しているグループ)でも講演を行うなど非常に有名で、著書(『幸せな未来は「ゲーム」が創る』―Reality Is Broken)も日本語に翻訳されている。Janeのゲームの考え方はすでにさまざまなビジネスに応用されていて、オンラインゲームで世界を変えると真剣に考えている彼女の姿勢は学びの分野での大きなヒントとなった。


人々はゲームを行った後、一緒にプレイした人との深くて強い関係が構築される、と彼女は語った。ゲーマーは個々が世界を変えられると信じている人たちであり、とても楽天的で心の姿勢が前向きである。Janeは、なぜゲームを好きになるのか、重要な10個のPositive Emotion(前向きな感情)をリストアップした。

その後、会場の参加者たちに、人と人を連結して親指ゲームを行わせてPositive Emotionを実感させたり、「EVOKE」という現実社会の問題をテーマとしたオンラインゲーム(http://www.urgentevoke.com/ )が、世界の問題を解決することにつながることを示したりした。「EVOKEは現実の生活を改善することでゲームに参加することができ、かつゲームへの参加を通じて、実際の社会問題も解決されていくというようなしくみである。今までになかったゲームの新しい考え方であり、教育の分野においても非常に参考になるコンセプトだと感じた。

昨今の若者は21歳になるまでに、1万時間をオンラインゲームに費やすという。それは専門家になるために必要な時間と同じである。将来的にはさらなるモバイルデバイスの発達や浸透によって、オンラインゲームに関わる人口がいっそう拡大すると予想される。


Janeの主張はもちろん個々の学習などのレベルではなく地球規模であって、身近に目を向けると企業の生産性向上やモチベーションアップに寄与するであろうということである。


実際に米国の労働者の71%は、気持ちが落ち込んだまま仕事に傾注できていないという統計結果があり、その人たちには24兆円のコストがかかっているという。(Gallup調査2011)彼らの心を高揚させ、楽しい気分で仕事ができれば、それは会社にとっても個人にとっても幸せなことであろう。「遊び」の反対は「仕事」ではなく「鬱」であるという主張である。

Janeは、ゲームをしているときの心のエネルギーをEUSTRESS(Positive Stress)と言い、前向きなストレスと説明した。これは仕事に対して後ろ向きにとらえるストレスとは性質が異なる。ゲームをする人たちは、その80%の時間を失敗しながら、それでもチャンレジをやめずにゲームに挑んでいくのである。その前向きな姿勢は注目に値する。これはヘルシーなストレスであり、心を病むようなストレスではない。Janeが提案するこの考え方を応用すれば、今後の学習設計に斬新なアイデアをもたらすであろう。